組織の健全性の維持のための監査制度
組織を正常に活動させていくためには、内部による監査だけではいけません。
どうしても視点が内部にあるため、健全な組織運営ができなくなる可能性があります。
何ら関係のない第三者による外部組織からの監査があってこそ、健全性を保つことができるといえるでしょう。
その中で、地方公共団体に対する外部監査制度は、不正な公金支出などを監視するため、重要な制度になってきているのです。
外部組織が監査を行うからこそ公正な監査になる
税理士が仕事として行っている外部監査制度は、地方公共団体に対する監査制度を指しています。
この制度の組織は、外部の専門家が属し、監査することになっています。
誰でもなれるものではなく、税理士をはじめとして、弁護士や公認会計士、公務精通者しかなることができないと定められているのです。
こういった監査制度は、元々存在していました。
地方公共団体の執行機関である監査委員がその任を帯びていたのです。
しかし、この委員による監査委員監査であり、内部の監査でしかありませんでした。
つまり、同じ属性の人間が監査を行ってきたのでは、公正な監査とは言えないでしょう。
その結果として、独立性の問題や専門性の問題も露呈し、不正事件があっても未然に発見できないなど、ほぼ機能していなかった状態だったのです。
そこで、平成10年にそれまでの監査委員と共に、外部から監査できる制度を導入しました。
外部監査制度はこうして始まったのです。
包括外部監査と個別外部監査の2つの方法
外部監査には2つの方法があります。
一つは包括外部監査と呼ばれるものです。
包括外部監査は、地方公共団体として、最小限の経費で最大限の効果を上げるように事務処理が行われているかを監査していきます。
自由民福祉の増進にも努めることが重要で、組織と運営が合理化されているのか、合理化に対して勤めているのかを監査するのです。
都道府県、政令指定都市、中核都市に関しては、この包括外部監査を1年につき1回受けなければいけないと定められています。
もう一つが、個別外部監査です。
特定の事件について、外部監査人による監査を請求することができます。
この請求は、住民や議会、首長が行えるようになっていますので、かなり公正を期すことができる制度であるといえるでしょう。
住民監査請求は、この個別外部監査の一つで、よく知られた名称のはずです。
この外部監査請求の中で、税理士は税の専門家として、税金の使用用途などを住民の視点に立って監査することが求められます。
多くの税理士が行っている仕事の一つでもあり、外部監査人の補助者として、税の知識を活用するということも行っているのです。